世界の壁
サッカー日本代表はメキシコに敗れ4位。メダルには及ばず。トーナメントでは一度も勝てずメダルは手のひらをすり抜けていった。
昨日Takeが泣き崩れたシーンは胸を打たれた。冷静な彼が人目をはばからす号泣し、ピッチに蹲った。かける想いは本気だったんだろう。そうでないとあの涙はでない。
実力と伸び代込みでレアルに渡り、メディアが持ち上げた。結果が伴わず、色々言われ続けただろう。代表でも得点が遠く、本人としても苦しかったろうと思う。
それを払拭するかのように、予選での3得点。南アフリカの個人技での打開、メキシコ戦での連携からロングランでプルへの飛び込み、フランス戦でのこぼれ球の押し込み。
見事だった。久保のためのオリンピックと言わんばかりの活躍だった。
3位決定戦のメキシコ戦
これだけを言うのであれば、やはり気の抜けた感は否めない。気の合う友人とLINEで連絡取りあいながら観戦。意地、野心、執着。こういった部分をチーム全員が持っていたのか。監督は焚き付けるよう強いリーダーシップを取っていたのか。これが疑問に感じた。
ニュージーランド戦よりマシだったが、前線のプレスでパスコースとスペースを潰しにかかってきた。なかなかボランチが良い形でボールを受けることができなく、やはり右サイドを起点とした攻撃が目立った。でも右サイドでの堂安、久保は左足だけ警戒していればといったところで既に読まれきっていたし、それを覆すだけのパワーもなく手詰まり感は否めなかった。これがメッシなら。とったら酷だが、そういう話だと思う。わかっていても止められない個の力。ここについては磨きをかけていくしか無い。
前半は林にボールが収まるシーンも多く、グループリーグを彷彿させる崩し、攻撃ができていたが、後半上田に変わってからはボールが収まらず、2列目の強引なドリブル突破中心での攻撃が目立った。
三苫はこの試合ようやくフィットした。メキシコにとっては嫌な存在だったと思う。得点は1点のみだが、完全な個人技だけで3点は取れてた。中々大会通して三苫の出番がなかったり、フィットしないことが多く見受けられたけど、個人技は流石。与えられた20分で1得点と惜しいシーンを作って見せた。もう少しこの判断を早くできていればと、悔いは残る。チャレンジ回数がもう少し欲しかった。
大会を通じて
若い世代って中々注目されないが、この大会で存在感を示せたのは確か。特に左サイド中山、旗手、三苫、相馬の選択肢の豊富さは今までにない層の厚さだ。
大会を支えたOA。吉田、遠藤、酒井。プレーの安定感は素晴らしかった。いてほしいところにいる。ここ一番で負けない強さ。冷静なプレー、判断力。
吉田のペナルティエリアでのタックルでホイッスル吹かれたが、VARの結果取り消しとなった。あれは本当に見事だったと思う。場数や経験値は、大舞台では大きなアドバンテージとなる。
酒井のフランス戦のゴールは見事。なぜここにいる!?という感じ。上田のシュートが弾かれて右に転がるかもしれない。ということを考えていないとあそこにはいないから。こういった細部に結果は左右される。
遠藤。個人的にはMVPクラス。対人の強さ。芽を潰す守備。圧巻だった。
堂安、久保は言うまでもなく攻撃の中心だった。他のメンバーとのレベルの差を感じた。本田と香川を見ている感覚だ。ただ、利き足を封じられた後の対策は必須。右の精度上げるのか、物ともしない個人技で打開するのか。堂安は裏をとって右足使うシーンがいくつかあったが、読まれて対策されれば驚異ではない。
前線はあえて書くなら林だろうか。得点はなかったが、献身的な守備、ポスト役としての活躍。足裏使ったり意外とトリッキーなこともできる。後は決定力。一番ハマっていたと思うし、大会通じて誰をセレクトするかと言われれば、林かな。と思う。
上田も酷評されているけど、チャレンジは良かった。強いて言うなら彼の力を引き出すパスを供給できないMF陣の課題ではないかと感じる。フランス戦の2得点は彼のシュート起点だ。
その他
勝負強さ。ってカテゴリであえて書きたい。言語化できないので難しいが、俗にいう
"持ってる"選手。
ここ一番でチームが苦しい時に決めてくれる選手。ケイスケ・ホンダ。みたいな選手ですかね。最後のピースは。
ともあれ、お疲れさまでした。落胆が大きいですが、それだけ期待していたということです。世界に間違いなく日本の若手世代の躍動を見せつけ、驚異となったはず。
きっともっと成長して帰ってきてくれるはず。こういった悔しい経験なしになかなか成長はできない。ビジネスでもスポーツでも一緒。悔しさは人を何倍にも強くする。
わかっちゃいるけど、悔しいね。本当に。一握りしか立てない舞台。
数回、いや一生に1回くらいのレベル。選手はどんなに悔しいだろうか。
TOKYO2020サッカー男子。物語の結末を見届けましょう。
おわり。